■光と遊ぶ・風と戯れる―傾斜地に建つ扉風の家「徳田邸」。わが国の住まい空間を奥深く追究していくと、不思議なことに気づく。日本の家や家族というものは、極めて封建的で閉鎖的なシステムであるにもかかわらず、その住空間、つまり住まいは、世界に類を見ないほど開放的で、自然順応型だったといえる。それでいて、時と場合によっては、雨戸や障子、襖などの建具を使って、サッと瞬時に閉鎖的な空間にすることもできる。平安時代における貴族の住空間など、あれほど開放的でありながら、解風や御簾、凡帳や衝立などを使うことによって、高貴な女性は、男性たちに、その顔すら見せることがなかったのである。それこそ究極のプライバシーで、これはまさに、日本の住まいにおけるソフトウエアといっていい。しかし、残念ながら最近の日本では、こうした最高のソフトウェアを、住まいづくりに活かしているとは言い難い。開放的すぎる従来型の日本家屋は、プライバシーや防火性能を考えた場合、都市型の家には不向きということもある。ツーバィフォーやコンクリートの壁の住まいでは、大きな窓を開けにくく、物理的、心理的に、閉鎖的な空間になってしまう。
光と遊ぶ・風と戯れる
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